行政書士の実務 契約書の作成


契約書などの重要な文書については、ビジネス文書ソフトなどを使って書き出すだけで済ませるのは危険です。自社に有利な条項もあれば、不利な条項も含まれているわけですから、個々の条項を正確に把握した上で、契約書を作成したり、相手から受け取った契約書を読んでいく必要があります。


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金銭消費貸借兼抵当権設定契約書の書式、文例(開業希望者必見!行政書士の実務メモ)

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金銭貸借の物的担保として、借主の所有する不動産を担保に入れるということがあります。
もちろん、借主の不動産を即時に取り上げる訳ではなく、その不動産に抵当権を設定することになります。

金銭消費貸借契約について

契約が成立するためには要件事実というものがはっきりしていなければなりません。
金銭消費貸借契約の場合は、金銭の返還の合意、弁済期及び金銭の交付が要件事実です。
後日の紛争を避けるために、これらの事項を文書にしておきます。

契約書に要件事実以外の事項が書かれていなくても契約の成立に影響ありませんが、書くのが普通です。要件事実以外の契約条項としては、
例えば、利率が考えられます。年○パーセントなどと書きます。ただし、利率については利息制限法などによる制限がありますので、注意が必要です。

次に、利息の支払時期、元金や利息の支払方法もはっきり書いておきます。
支払方法は、持参とか送金と言うことも書くべきです。さらに、元金や利息の支払いを遅延したときなどの遅延損害金や、どういう場合に期限の利益(期限が来るまで支払を待ってもらえる権利)を失うかなども書いておきましょう。

期限の利益を失う例としては、その金銭消費貸借契約の金銭の支払を怠った場合以外に他の債務について仮差押え、仮処分又は強制執行を受けたとき等が考えられます。

抵当権設定契約について

抵当権とは、借主が担保として提供した不動産を、その使用を継続させながら、債務が弁済されない場合にその不動産の価額によって、貸主が優先弁済を受けることのできる権利です。

抵当権の設定契約自体は、金銭貸借(抵当権設定)契約書を締結することで有効となります。
但し、不動産の場合は、当事者間で契約をしていても、その抵当権設定の事実を法務局に登記しなければ、後から第三者に登記を先にされてしまうと、優先弁済が受けられなくなってしまいます。
ですから、金銭貸借の担保として、不動産の抵当権設定契約をした場合は、同時に法務局で抵当権設定登記登記をする必要があります。



金銭消費貸借兼抵当権設定契約書

第1条
債権者○○○○(以下「甲」という。)は、平成○○年○月○日、債務者○○○○(以下「乙」という。)に対し、金○○万円を次条以下の約定で貸し渡し、乙はこれを受領した。

第2条
乙は、甲に対し、右元金を平成○○年○月○日限り一括して返済することとし、利息は、年5分として元金返済と同時に支払う。

第3条
乙が、前項の返済を遅滞した場合には、返済期日の翌日から支払済みまで年2割の割合による遅延損害金を支払う。

第4条
乙の甲に対する第1条ないし第3条の債務を担保するため、乙は、甲に対し、乙が所有する後記表示の土地及び建物について第1順位の抵当権を設定し、甲はこれを取得した。乙は、甲に対し、直ちに抵当権設定登記申請手続きをする。

第5条
乙は、担保物権が滅失毀損し、又はその価値が低落したときは、甲に対し、遅滞なくその旨を通知しなければならない。この場合、乙は、甲の請求により、増担保又は代わりの担保を提供し、若しくは債務の全部又は一部の弁済をする。

第6条
乙は、甲に対し、甲の承諾なしに、担保物権の所有権を移転し、又は賃借権を設定し、若しくは担保物権の現状を変更するなど、甲に損害を及ぼすおそれのある一切の行為をしないことを確約する。

第7条
乙につき、次の各号の一に該当する事由が生じたときは、当然に期限の利益を喪失し、直ちに元利金と完済までの遅延損害金を支払う。

(1)破産、民事再生手続開始の申立てが成されたとき

(2)他の債務について仮差押、仮処分、強制執行、競売の申立てを受けたとき、滞納処分による差押えを受けたとき

(3)その他本契約に違反したとき

不動産の表示 ※不動産登記簿謄本と同じように記載してください。


  所    在 ○○市○○区○○町○番○  
  地    番 ○番○
  地    目 宅地
  地    積 223・55u 

  所    在 ○○市○○区○○町○番地○
  家屋 番号  ○番○
  種    類  居宅
  構    造  木造スレート葺2階建
  床面積    1階 74・56u
           2階 52・34u

この契約の成立を証するため、本書2通を作成し、甲乙署名押印の上各自1通を所有する。

 
平成 ○年○月○日

乙(住所)○○○○

  (氏名)○○○○      印

甲(住所)○○○○

  (氏名)○○○○      印



※契約書の実務に関わりたい方へ

契約書の実務では、民法を始めとした民事法の知識が必要です。民法はもちろんのこと、消費者法関係などの特別法や民事訴訟法などの裁判手続に関する知識も必要です。

契約書は、いざという時は、裁判等において、重要な証拠となるものです。そのため、裁判になった場合に役に立つ契約書の文案や活用方法を熟知しておく必要があります。

行政書士試験の民法では高度なレベルの知識は問われません。

そのため、行政書士試験に合格できたというだけでは、契約書の実務に必要な知識は備わりません。最低でも、司法書士試験に合格できるレベルの知識を身につける必要があります。

契約書の実務は行政書士でもできますが、行政書士試験に合格した後も、引き続き、司法書士試験の勉強をするなどして、より高度な知識を身に付けるようにしましょう。


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