行政書士の実務　契約書の作成

契約書などの重要な文書については、ビジネス文書ソフトなどを使って書き出すだけで済ませるのは危険です。自社に有利な条項もあれば、不利な条項も含まれているわけですから、個々の条項を正確に把握した上で、契約書を作成したり、相手から受け取った契約書を読んでいく必要があります。

契約書　契約の基本6　代理人が署名する場合（開業希望者必見！行政書士の実務メモ）

本人が多忙、その他の事由で、契約時に署名できない場合は、代理人によって、署名されることが良くあります。
代理人が署名する場合には、二つの方法がとられます。

甲野太郎の代理人として、乙野次郎が署名するという例で考えて見ましょう。

ひとつの方法が、

乙野次郎が、甲野太郎から、印鑑を預かってきて、
乙野次郎が契約書に「甲野太郎」と記載して、印鑑を捺印する方法です。

しかし、この方法、好ましいことではありません。乙野次郎も含めて、契約者同士の信頼関係が厚く、トラブルが絶対に起こりえないというような場合なら、このような方法でも良いかもしれません。
しかし、それほど、信頼関係が厚いわけでないとか、あくまでも、ビジネスだけの関係ということでしたら、この方法は適切ではありません。
もしも、契約成立や契約内容をめぐってトラブルになった場合には、甲野太郎が、「こんな契約書を作った覚えはない。これば、自分の筆跡ではないから筆跡鑑定してみろ。」といってしまえばそれまでですし、乙野次郎も、甲野太郎側の人間ですから、相手方にとって有利な証言をすることはないわけです。


ですから、ビジネスにおいて、代理人が署名するならば、以下の方法が望ましいです。

乙野次郎が、甲野太郎から、委任状をもらってきて、
乙野次郎が契約書に、「甲野太郎代理人　乙野次郎」と署名して、乙野次郎の印鑑を捺印する。

このようにしておけば、もしも、契約の成立、契約の内容が問題になったとしても、甲野太郎が、文句を言うことはできませんし、乙野次郎も正式な代理人として署名したことを認めざるを得ないわけです。

重要なのは委任状の書き方ですが、おおむね以下のように記載することになります。



委任状

私は、乙野次郎を代理人と定め、下記事項を委任します。

１、私と、○○○○の間で、東京都千代田区○○の土地について、売買契約を結ぶこと及び代金の受領等
２、上記に関連する事項

上記のとおり委任します。

平成○○年○○月○○日

東京都千代田区○○

甲野太郎　印



※甲野太郎の印鑑が本人のものであることを証明するために、印鑑は実印を利用し、印鑑証明書も添付するのが望ましいです。

以上、代理人が署名する場合についてでした。



※契約書の実務に関わりたい方へ

契約書の実務では、民法を始めとした民事法の知識が必要です。民法はもちろんのこと、消費者法関係などの特別法や民事訴訟法などの裁判手続に関する知識も必要です。

契約書は、いざという時は、裁判等において、重要な証拠となるものです。そのため、裁判になった場合に役に立つ契約書の文案や活用方法を熟知しておく必要があります。

行政書士試験の民法では高度なレベルの知識は問われません。

そのため、行政書士試験に合格できたというだけでは、契約書の実務に必要な知識は備わりません。最低でも、司法書士試験に合格できるレベルの知識を身につける必要があります。

契約書の実務は行政書士でもできますが、行政書士試験に合格した後も、引き続き、司法書士試験の勉強をするなどして、より高度な知識を身に付けるようにしましょう。

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特に、一通り勉強したけど、なかなか合格できないベテラン受験生の方はクレアールで再度勉強しなおしてみるのもいいかもしれません。



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