行政書士の実務 相続・遺言


相続手続きや遺言書の作成は意外に難しいものです。遺産分割協議書、遺言、公正証書遺言作成などの相続手続きと戸籍の読み方、取り寄せ、郵送の方法などについてまとめています。


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遺言書を作っておくべき人 子供たちの仲が悪い(開業希望者必見!行政書士の実務メモ)

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子どもの中が悪いと、相続に際しては、揉め事になるケースが多いようです。しっかりと遺言書を作成して、だれに遺産を相続させるのか明確にしておくことが兄弟喧嘩の防止になることもあります。



もしも遺言書がないとこうなる!

<トラブルモデルケース>


甲野太郎は、ごく平凡な会社員として働き、定年後は、わずかな年金でひっそりと過ごしていた。

子どもは、男の子が3人。
全員独立して、それぞれ家庭を持ち、時々、孫を連れて遊びに来てくれる。
唯一の悩みの種は、兄弟の仲が悪いということ。
母親を早くに亡くし、自分も子どもたちに構ってやれなかったことが原因の一つではないかと自責の念に駆られていた。

子どもたちが会いに来るときは、必ず、「今日は、兄貴(弟)は来ないよな。」と確認してから来るほどで、如何に、兄弟の仲が悪いかが分かる。

あるとき、甲野太郎は病院の検査で、末期のがんだと宣告された。
そう長くないことを悟った甲野太郎は、自分の住んでいた土地・建物・貯金のすべてを三男の甲野小三太に譲ろうと考えて、遺言書もしたためた。

三男の甲野小三太は、兄とは違い、高校を卒業するとすぐに就職して働き始めて、毎月、いくばくかのお金を甲野太郎に送ってくるようになった。
他の兄は、「浪人だ」「大学やめて専門学校に行きたい」だのと、なにかとお金がかかったものの、甲野小三太だけは、手のかからない子であった。
甲野小三太だけはアパートに暮らしており、この機会に、甲野小三太に自分の家を持たせてやりたいと思ったのである。
死の直前、甲野太郎は、遺言書を甲野小三太に託し、息を引き取った。

やがて、甲野小三太が中心になり、葬儀を行おうとしたところ、二人の兄は、異議を唱え始めた。

長兄「俺が長男なんだから、遺産も俺が相続するのが筋だし、葬儀も俺がやる。小三太は三男の分際で、でしゃばるな!」

次兄「相続財産は、三人で平等に分けるものだ。兄貴だけ横取りするな!」

甲野小三太「ここに遺言書がある。財産はすべて、俺が受け継ぐことと書かれている。」

長兄、次兄「それは偽物だろ!」

かくして、葬儀も終わらない前から、三人の兄弟は、取っ組み合いのけんかを始め出してしまったのである。


結局、甲野太郎の遺言書が本物だと認めてもらえず、甲野太郎の意思に反して、三人兄弟が争った挙句、財産を平等に分けることになった。

しかし、それぞれ弁護士を雇い裁判まで始めてしまったこともあり、相続財産の多くは、弁護士、裁判費用のために消えてしまったのであった・・・



参考条文
第二章 相続人
(相続に関する胎児の権利能力)
第八百八十六条  胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。
2  前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。

(子及びその代襲者等の相続権)
第八百八十七条  被相続人の子は、相続人となる。
2  被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3  前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第八百九十一条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。

(直系尊属及び兄弟姉妹の相続権)
第八百八十九条  次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一  被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二  被相続人の兄弟姉妹
2  第八百八十七条第二項の規定は、前項第二号の場合について準用する。

(配偶者の相続権)
第八百九十条  被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、その者と同順位とする。




こうならないようにしたければ!

甲野太郎さんは、自分には、たいした財産がないからと思って、専門家に依頼するということはしなかったのでしょう。しかし、わずかな財産であっても、兄弟の仲が悪い場合は、遺産をめぐって争いになるということもあります。

ですから、確実に甲野小三太に財産を譲りたければしっかりとした遺言書を書いておくべきでした。
そして、遺言書は、公証人が関与する公正証書遺言が望ましかったといえるでしょう。
公正証書遺言であれば、「偽物の遺言書だ。」という争いは起こることがなかったはずです。

さらに、信頼できる人に遺言執行者になってもらい、兄弟で争うことなく、甲野小三太に財産が渡るように監督してもらうことが望ましいです。
例えば、親戚の中で長老格の方に遺言執行者になってもらったりするのがよいでしょう。
もしも、信頼できる人がいない場合は、専門家の方に依頼するという手もあります。



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相続・遺言の実務では、民法を始めとした民事法の知識が必要です。民法はもちろんのこと、不動産登記法や民事訴訟法などの手続法に関する知識。さらに、不動産に関する知識、資産に関する知識なども重要です。

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